下北沢「サブカルの街大改造」が成功した理由は?

下北沢の街は大改造されて、すっかり駅前は現代風になりました。

当初は反対運動等もありましたが、今では新しい街として定着し、多くの若者でにぎわっています。

なぜ下北の街大改造は成功したのでしょうか。

 

その理由を探ります。

 

・下北沢駅周辺の大改造は成功だったのか?

まずは、下北沢駅です。

東京で一番古い駅でしたが、小田急線の複々線化により利便性が高まり、今や新宿から15分という便利な場所に生まれ変わりました。

そして、南口には、大型ショッピングセンターがオープンし、その周辺の商店街も活気づき、人通りも多くなりました。

 

北口では、大きな駅前広場が作られ、その周辺にお洒落なカフェなどが立ち並ぶようになりました。

また、これまではただの住宅街だった西口にも、個性的なお店が集まりだしました。

そんな下北沢駅南口の様子を見てみましょう。

出典:下北沢駅西口広場 まずは、改札口を出てすぐにある巨大なモニュメント。

これは、昨年9月に工事を終え完成したものです。

このモニュメントは、もともとあったオブジェに新郎新婦の写真を合成したものだそうです。

ちなみに、写真の合成のアイデアは、某有名芸能人夫婦のお子さんとお母さんの写真を使ったものらしいのですが、よく出来ていますね。

 

このモニュメントの前に立つと、まるで結婚式場にいるような気分になれて素敵ですね。

さらに、こちらのオブジェには、たくさんの花びらが敷き詰められていて、まるで花畑みたいになっています。こんなところに花なんて咲いていないはずなのに……不思議な光景です。

これが噂のパンケーキアートですか! 他にも、カラフルな電飾が埋め込まれた柱があり、クリスマスツリーのように輝いていて綺麗ですね。

 

こちらは、駅のホームの上に設置された時計塔です。

文字盤を見ると、12時の位置に大きなデジタル時計が設置されていて、その下には、何本かの柱が伸びています。

この柱がなんなのか気になる方は、ぜひ行ってみて下さい。

それは、下北駅舎の中にある秘密の部屋です。

この部屋に入ると、壁一面に映像が流れるようになっていて、とても幻想的な雰囲気ですよ。

 

・下北沢は再び古着の街へ

 

下北沢の古着屋さんについてです。

おしゃれ好きな若者たちが集まるこの街には、多くのアパレルショップが立ち並びます。

 

下北沢といえば古着の街だったのですが、街が再開発される前はそこまででもなくなってきている感がありました。それが今回の再開発とともにまた盛んになってきたように思われます。

 

それというのも、ここ数年下北沢界隈では古着ブームが巻き起こっており、その人気ぶりから、古着を買える店がどんどん増えているからなのです。特に最近では、全国的に有名なセレクトショップも出店するようになり、ますます熱を帯びてきています。

もちろん、古着だけではなく、若い女の子向けのお店も数多くあります。

 

・渋谷やお台場はファッションの最先端だが、下北沢はそうではない? 

 

先ほど述べたとおり、渋谷やお台場などの大規模都市は、ファッションの最新流行を発信する場所であり、常に流行の先端を担う存在でした。しかし、下北沢をはじめとする中小の都市は、規模が小さいため、そうした巨大都市よりも、ファッションの流行スピードが遅れてしまう傾向にありました。つまり、小さな街の住民は流行に乗り遅れまいとするあまり、お金と時間をかけなくてはならなかったのです。

 

一方、渋谷やお台場といった巨大都市は、ファッション以外にも音楽やスポーツなど様々な分野の情報発信基地として機能していました。そのため、様々なジャンルの人々が集まっており、その結果、各分野で高い能力を持った人材が多く集まりやすい環境にあったのです。また、文化的な側面においても、彼らは独自のサブカルチャーを生み出しており、その影響力は計り知れません。例えば、若者の間で人気のあるマンガ家の多くは、この二つの巨大都市の出身者であることが多いのです。

 

・下北沢にはないもの、渋谷やお台場にはあるもの

 

 このように、下北沢と渋谷やお台場の間には、何かしらの違いがあるようです。では、下北沢に欠けていたものは一体何なのでしょうか? ここからは筆者の考えを述べさせていただきたいと思います。

まず、一つ目に言えることは、下北沢には元々商店街があったということです。

そう聞くと、不思議に思うかもしれませんが、商店街というのは、実は昔からあるものではないのです。

商店街とは、そもそも商家が軒を連ねる通りを指したものです。ですから、古くから栄えてきた商店街は、多くの場合、商店主たちが代々受け継いできたものであり、歴史も長いものが多かったのです。

ところが、近年、街づくりのために大規模な開発が行われるようになると、商店街は次々と姿を消してしまいました。

それだけでなく、商店街が消えていく原因となったのが、住民の高齢化による後継者不足だったのです。

そのような背景もあり、今現在残っている商店街は、そのほとんどが、新たにできたものでした。そして、その多くは、昔ながらの商店というよりは、お洒落なカフェ等が中心となっていたのです。

もう一つは、街の立地条件です。

確かに、下北沢には比較的大型のショッピングモールがいくつもありますし、買い物には困らないでしょう。また、商店街も残っていますので、衣食住に必要なものも大抵は揃えられるはずです。

ただ、駅前の開発が進むことによって、どうしても人の流れが変わってしまいました。

 

駅周辺の再開発によって、大きな道路が開通し、そこに電車の踏切も作られるようになりました。これによって、それまでは車の通行が前提だった道が歩行者専用になり、それによって、これまで以上に多くの人や車が流れ込むようになったのです。その結果、以前ほどには交通の便がよくなくなり、多くの人が行き交うようになる中で、逆に不便になってしまった場所もあるわけです。

また、商業地と住宅地の境目が曖昧になったことも関係していると思われます。

これまでは、住宅と商業地は明確に区別されていましたが、今ではそれがすっかり入り混じってしまったのです。

その結果、住宅街の中に、一風変わったカフェや雑貨屋さんができたりすることもあります。

しかし、それだけではありません。

商業施設が増えたことで、便利になった部分もあれば、なくなってしまったものもあります。

その一つが、映画館の存在です。

以前は、駅から少し離れた場所に小さな映画館がいくつかありましたが、その多くが取り壊され、その代わりに新しい複合ビルが建設されるようになりました。

これにより、古い映画ファンは、わざわざ下北沢まで行く必要がなくなったのです。

 

PR
必要となる人もいる大人のドリンク。インヴィクター82500はこちらです。
インヴィクター82500

 

・下北沢はコンパクトシティ化が成功した街

 

 では、どうすれば街を活性化させることができるのでしょうか。

そこで、一つの解決策として考え出されたのが、コンパクトな街をつくるということなのです。

つまり、下北沢のように、限られた土地を最大限に有効活用しようということですね。

そのために、下北沢では、区画整理が行われた際に、鉄道の線路を大幅に移設しました。その結果、駅の東西を結ぶ地下通路が出来たり、線路が高架になったりして、移動がしやすくなったのです。

また、この移転は、単に利便性を高めるだけに留まりませんでした。

実は、この工事の際に、駅周辺の老朽化した建物の多くが取り壊されたのです。

それにより、結果として、下北沢は街全体が整理されたことにより、空間が広がったのです。

下北沢はコンパクトシティ化されて成功した街です。

このように、再開発を行うことで、街は生まれ変わります。