メタ社主導の仮想通貨ディエムが断念ということ

メタ社主導の仮想通貨ディエム(旧リブラ)が発行することを断念するということがニュースになっていました。

今でも暗号資産は日々生まれてきていますし特に政府系とは関係なく誕生して犬のにはなりますがメタ社が仮想通貨を発行するとあまりにもその影響力の大きすぎるということもあり厳しい目で判断されることになったのでしょう。

一般の会社の発行するのであればまだそれは本当に小規模な商品券のレベルになるかもしれませんがGAFAの一つであるメタ社(旧facebook)であればその規模感は一国の経済を超えるレベルになってしまいます。

もしこの仮想通貨が普及して一般的に使用できるようになってしまうと各国の通貨概念が崩れてしまう可能性があるかもしれません。円を持っても意味がなく、ドルを持っても意味がない、ディエムを持つことが重要だというような価値観が生まれてしまうとこれはある意味世界がメタ社に乗っ取られてしまうのと同じことにもなってしまいます。

さすがに政府の機能を一民間会社に持たせ、制御できない状態になってしまうというのは許されない話だったのではないでしょうか。

各国はその時の経済状況に応じて金融緩和をしたり締め付けをしたいということで通貨の流れを制御しています。インフレやデフレの防止ということも政府の役割です。日本では政府から分離された日本銀行がやっているという形にはなっていますが、事実上政府機関の一つと考えてもおかしくありません。

決して一民間企業が自分だけの利益のために行うような仕組みではないということです。

さすがにこれを新興企業で、巨大化して適用が持ってしまうというのはあまりにもリスクの高い話になるように思えます。完全な電子マネーであればあくまで通常の通貨がベースになっていますので利便性が増すだけで問題はないと思いますが、それ自体が通貨として価格が変動し続ける取引対象になってしまうと、国が制御をすることができなくなってしまいます。

金融調整だけでなく、マネーロンダリング的な問題も発生してしまいますし、メタ社が金融の頂点として存在するということは、各国にとっても不都合を発生してしまいそうです。

今でも暗号資産というのは結局のところそれ自体が通貨としては成立していないと思っています。一時期はビットコインでの支払いというようなことは普及するのではないかという予測もありましたが、今では投機対象としてなっていないのが実態でしょう。

これからも暗号資産絡みの話は増えてくるとは思いますが全ての話にはリスクが多くあり、ましてそれが通貨として普及するかとなると疑問があるものばかりになっています。

このような新しい概念が世の中を変えていくには必要なものになるのでしょうけど、なかなか現在の実態と合わせた問題のないものを開発するというのは難しいことなのかもしれません。